ピアノ工場見学日記

  『ピアノ選定のためにヤマハの掛川工場まで行くことになったんだけど、一緒に来ない? 工場見学も出来るよ。』
友から誘いを受けました。

お供させてもらっても、お役に立てるかどうかはわからない・・と思いつつも、工場見学も出来るなんて、なんて魅了的なお誘いだろう!
大好きなピアノの製造工程を見学出来るなんて、滅多にない機会。
同行させて頂くことにしました。

行きの新幹線に乗ったときから、ワクワク。
ピアノ選定という大仕事を目前に、友は恐らくドキドキ(?)

掛川駅に着き、ヤマハのご担当様と合流しタクシーでピアノ工場に隣接したハーモニープラザという施設へ向かいました。



到着後、先ずは友のピアノ選定に同席させてもらいました。
工場でのピアノ選定・・同席させてもらうだけではあるけれど、それとて私にとっては、一生に一度あるかないかの貴重な体験。
その体験は、かなり学ぶことが多く、書き記しておきたいこともたくさんあるのですが、今回はその合間に行った工場見学のことのみを書いてみようと思います。



 こちらはエントランスに展示されていた1942年製のピアノです。
ご案内担当の方が弾いてくださったのですが、麗しい音色に驚きました!



先ずは、全工程(21工程)の流れについて10分程度のレクチャーを受けました。

『ピアノは約8000もの部品で作られています。』
『響板となる樹は、どれも樹齢100年を超えたものが選ばれます。』

夥しい数の部品が覗くピアノの断面模型、羊毛がギュギュッと圧縮されたハンマーの感触、そして樹齢100年超えの響板のサンプルを目の前に、既に感嘆のため息がもれました。


そしていよいよ、”鍵盤デザインの横断歩道”を渡り、厳重な空調管理のため二重扉になっている入り口から中へ入ると、工場見学の始まりです。


ガラスの仕切り越しではあるけれど、こんなに間近で!
工程順に実際に作業をされている様子を拝見することができました。
作業中の技術者の方々は皆真剣そのもの。
ピアノがつくられる現場を拝見していると、自然と感謝の気持ちが湧いて来ました。

友は各工程を見学後に、都度都度技術者の方々に向かって、ゆっくりと頭を下げ、おじぎをしていました。
その行為は、作業に集中する方々の目には映らぬものと思いましたが、湧き上がる感謝の気持ちから、気づけば私も同様の行為に及んでいるのでした。

チューニングピンの打ち込み、アクションや弦をなじませるための数百回の打弦などロボットが行う工程もありました。
しかし、殆どの工程は熟練された技術者さんたちの手によるもの。

工程が進むごとに行われる調整。
職人さんの経験と感覚。
音とタッチ。
繰り返し、繰り返し、繰り返し・・
調整の中で音色がつくられて行きます。

そして仕上げに、調整・調律・整音。
ピアノ全体を鳴らしながら、徐々に徐々に全体のバランスが構築されて行きます。
ピアノづくりに向き合う職人さんたちの真摯な姿勢と表情。

目にした光景を振り返りながら、立ち去りがたい気持ちで工場を出ました。

工場見学の記念にと、帰りに頂いたハンマーのアクセサリーです。こちらはアップライトピアノのハンマーなのだそうです。



工場を後にし、掛川駅へと向かうタクシーの中で友が言いました。
『ピアノは8000の部品から作られているって言っていたけど、一つのピアノが出来るまでに、一体どれだけの人たちが携わっているんだろうね?・・私はそれが知りたいって思ったよ。』

友の言葉に、はっとさせられました。
『ほんとだね。  木を植えた人から数えたら・・もう、、凄い数の人たちになるだろうね。』

 その晩、帰宅早々にピアノに向かいました。
ピアノに向かう時間は、いつも、ひとり。
もうずっと、ピアノの前であたりまえのようにひとりの時間を過ごして来たのですが・・
その晩はいつもと様子が違いました。
ひとりではなく、たくさんの人たちと繋がっているような感覚がしたのです。

私は、このピアノをつくるために向き合ってくれた多くの人々と、見えないご縁で結ばれているのだ。
「このピアノを気持ちよく歌わせたい」その想いは私だけのものでなく、このご縁で結ばれた全員の想いなのだ。
そう思うと、とても不思議で愉快な気持ちになりました。
そして、昼間見学させて頂いたピアノ工場のことを思い出し、幸福感に包まれました。


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