Twinkle twinkle little star 一番最後のラヴソング
一番最初に星を見た記憶は、祖母(以下おばあちゃん)と一緒の夕暮れどきで、
おばあちゃんにおぶわれていたか、あるいは手をつないでいたように思います。
まだ、ほんの小さな子どもの頃でぼんやりとした記憶ですが、
小さなわたしは、おばあちゃんと一緒に夕空に浮かぶ月や星を眺めるのが好きでした。
それは、夕暮れどきの、あの淡い空のように甘くて、
ほんの少し せつなさが混ざった思い出です。
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おばあちゃんは、たびたび、
『おじいちゃんの星はどこだろうねぇ?』
そんなことをわたしに言いながら、星を見上げていました。
その頃は、ちょうど祖父が亡くなって間もない頃だったのです。
わたしは、まだ何もわからない幼い子どもながらも、
おばあちゃんの気持ちを感じていたように思います。
おばあちゃんのために、一番きれいなお星さまを見つけてあげたい。
そう思って、あれかなぁ・・・これかなぁ・・・と、
空を見渡していたことを覚えています。
おばあちゃんの おだやかな声、やさしいぬくもり。
それらに混ざって、しずかにしずかに、
せつなさは、 わたしの身体の奥の方へと伝わり、
今でも残っているような気がします。
だからでしょうか・・・
夕暮れの空に星を見つけると、ほんの少し せつない気持ちになります。
子どもの頃、おばあちゃんは、おばあちゃん以外の何者でもないと思っていました。
けれど今、こうして大人になってみると、
おばあちゃんが、本当は、一人の女の人だったこと。
長いあいだ連れ添った伴侶を慕うように、星空を見上げていたこと。
そんなことを、しみじみと感じることができます。
Twinkle twinkle little star・・・
見上げた先のお星さまへ
一番最後のラヴソング。
Twinkle twinkle little star (キラキラ星) 絵:八木多美子 音楽:ピコジュール (編曲・ピアノ・歌)