ソルヴェイグの心を映す”みずうみ”〜あなたなら待てますか?〜
「みずうみ」という楽曲をカバーしました。
”みんなのうた”で大貫妙子さんにより歌われていたこの楽曲。
グリーグ 作曲のペールギュント組曲の中の一曲、「ソルヴェイグの歌」が原曲です。
放蕩の旅から故郷に戻ったペールギュントは、ソルヴェイグに看取られながら永眠します。
そのとき最期にソルヴェイグが歌う美しい子守唄。
それが、”ソルヴェイグの歌”です。
若かりし日にペールギュントと別れてから白髪になるまで、ペールギュントの帰りを、ずっと待っていたソルヴェイグが歌うこの美しいメロディー。
心の奥深くまで沁み入ります。
高校の授業で、音楽の先生は、この組曲のあらすじをお話しになったあと、一番前の席に座っていた私の方をご覧になって、仰いました。
『あなたなら待てますか?』
まだ高校生だった私は、そんなことを突然訊かれ、
どぎまぎ戸惑うばかりでした。
第一・・・白髪になる自分のことを想像することすら出来ません。
高校生の私にとって、年老いた未来の自分は、遠い遠い存在でした。
その上、この先の私の人生で、ソルヴェイグがそうしたように、長い間待ってしまう程に愛する人と、巡り逢うことなんてあるのだろうか?
そんなことを自問しながら、何も答えられずに、下を向いて口ごもりました。
このやり取りがあったせいもあり、「ソルヴェイグの歌」は忘れられない楽曲となりました。
そして、この美しいメロディーに日本語のオリジナルの歌詞がついた「みずうみ」という楽曲。
今回カバーするにあたり、やはり思い出したのは、高校の授業での先生とのやり取りでした。
あれから長い年月が流れ、年齢を重ねました。
あの頃とは逆に、少女の頃が、遠い昔になってしまいました。
『あなたなら待てますか?』
大人になった今、あのときの先生の質問が思い出されました。
大人になった私は、人生は無限ではないことを知りました。
ひたすらに待つことで、失うことが、多くあることも知りました。
♪会いたいのは あなたよりも ソバカス気にしていた日のわたし♪
「みずうみ」の歌詞の一節を歌うたびに、思い出すのは、
あのとき先生に質問されて、答えられず、俯き、口ごもっていた高校生の私。
結局のところ、年齢を重ねたら重ねたで、もごもごと答えられないままの私は、
あの頃の私を懐かしく思い出しながら、ただただ苦笑するばかりです。
みずうみ ペールギュント第2組曲「ソルヴェイグの歌」から
グリーグ 作曲 山川啓介 編曲 乾裕樹 編作曲
◼️みずたま:絵 ◼️ピコジュール :ピアノ,ヴォーカル,動画編集
みずたまさんとの初コラボレーション作品です。
湖の水面のように優しく深く広がる色彩。
みずたまさんの作品を感じながら、創ったムービーです。