音の風景♪8月 光と影の中で
光の強さを感じるほどに、影の濃さを感じる8月。
家の前に続く桜並木。
鬱蒼と茂った葉が影を作ってくれているにもかかわらず、容赦のない熱気と湿気がアスファルトから立ちのぼってきます。
そして頭上には、夥しい数の蝉の鳴き声。
途切れることのない蝉たちの声に、
ときどき意識が遠のきそうになります。
そうやって歩いていると、この酷暑と蝉の声が永遠に続くのではないか?
という、錯覚に包まれたりします。
けれど、道々、ところどころに落ちている蝉の亡骸を目にしたとき、
それが、永遠には続かないことに気づきます。
8月の光と影。
小さな生き物たちが、生命の営みの中にある光と影を教えてくれます。
8月6日
8月9日
8月15日、終戦記念日。
盂蘭盆。
墓参。
灯籠流し。
日中の光の眩しさにばかり囚われていたら、
いつしか、夜の闇が深さを増していました。
夏を謳歌するように、力いっぱい鳴いていた蝉たちの声も徐々に力を失い、
日が沈むと、虫の音が微かに聴こえ始めます。
ただの感傷とも違う、そこはかとない、うら淋しさを
虫の音に感じます。
生命の営みの中に漂っている、
そこはかとない、うら淋しさに耳を澄ませます。
眩し過ぎる光の中に、濃い影が宿る8月。
どうしても、何かが終わって行く気配を感じてしまいます。
けれど、それは、
終わって行くようでいて循環しているということなのかもしれません。
植物が葉を落とし、小さな生き物が土に還り、そして次の新しい生命へ。
ずっとずっと、そうやって続いている逞しい自然の営み。
私が生まれる前から、そしてここからいなくなった後も。
ずっとずっと続くであろう生命の循環。
8月の光と影の中で、
生命の儚さと逞しさに耳を傾けます。
Picojoule : continue <ピコジュール:コンティニュ> ©️2018 Kaori Inagi
ピコジュール:作曲・ピアノ・シンセ・ヴォーカル
歌詞はなく、ヴォカリーズという母音唱法とピアノ・シンセの編成です。
蝉、蝶など、小さな生き物たちの”生命の営みのなかの光と影。
自然の循環の中に感じる儚さと逞しさを掬い取りながら作った小品です。
※苦手な方もいらっしゃると思いますが、MVの中に蝉、蝶の亡骸が出てきます。